東横線の混み合った車内でゆらゆらゆられていると、
中目黒から茶髪のちょっとイケメンな高校生が乗車してきました。
カバンから何かを出そうとしています。
おそらくスマホを取り出し、ラインとやらで、
彼女に「おはようにゃん」とか、
メッセージを送るつもりに違いありません。
高校生の頃の自分がふとあらわれました。
受験勉強でかすみがかかったような、あの頃。
世の中の流行とは無縁な毎日。
和田秀樹を信じるべきかどうかが大きな悩みだった・・・
そんな思いで、茶髪の高校生をじっと見つめていると、
彼はカバンから数Ⅲの問題集を出したのです。
数Ⅲ・・・理系なのか。
ああ、もしかすると彼の視界にも、
かすみがかかっているのかもしれない。
そっと渋谷駅で降りたのでした。