渋谷・新宿・池袋・東京・大宮駅より1分 夜8時まで

ジャスミンレディースクリニック
ホーム 特徴 アクセスと時間アクセス 料金 外来担当医表診察担当医表 診療内容
予 約

多のう胞性卵巣(PCOS)

多のう胞性卵巣(PCOS)について説明漫画1 多のう胞性卵巣(PCOS)について説明漫画2 多のう胞性卵巣(PCOS)について説明漫画1

多のう胞性卵巣症候群とは

多のう胞性卵巣症候群とは

女性には20人にひとり、ある体質の人がいます。その体質の人は生理不順になりやすく、ニキビができやすく、毛が濃くなりやすいのです。この体質のことを多のう胞性卵巣症候群といいます。

うまく排卵できず、生理不順になります。
男性ホルモンが高くなり、ニキビや多毛になりやすくなります。将来、糖尿病になりやすいと言われています。

この体質になる原因はよくわかっていません。遺伝子や胎児期の環境などの先天的な状態に肥満などが加わって症状がおきてくると考えられています。なぜ、特有の症状が出るのかもなかなかに複雑で全ては解明されていません。現在の医学では、この体質そのものを改善することはできません。

この体質の人は以下のポイントについて知っておくといいでしょう。

・妊娠しにくいかも
・子宮体がんの予防
・高い男性ホルモンによる症状(ニキビ、多毛)
・糖尿病のリスク管理

検査

生理不順の原因で一番多いのが多のう胞性卵巣症候群です。どの程度の生理不順だと気をつけるのかというと、1年間で8回くらいしか生理がない、3ヶ月生理が来ないとなると検査をした方が良さそうです。診断のための検査は、ホルモン検査、超音波検査です。

ホルモン検査

女性ホルモン、男性ホルモン、その他生理に影響するホルモンを調べます。この検査は基本的に生理中に行います。

超音波検査

排卵しにくいと、卵巣の中に排卵できずにたまった卵子のふくろがたくさん見えます。この卵子を含んだふくろは7mmくらいの大きさで超音波の検査で確認できます。ふくろのことを難しい言い方をすると「のう胞」と言います。卵巣の中に多くの「のう胞」がある状態を「多のう胞性卵巣」と言います。「多のう胞性卵巣」は卵巣の状態のことですが、この所見がこの体質の人によく確認されるので、多のう胞性卵巣症候群と名付けられているのです。

診断

感染予防

生理不順の人が、ホルモン検査で男性ホルモンやLHというホルモンが高かったり、超音波でたくさんのふくろが確認されれば、多のう胞性卵巣症候群と診断されます。

妊娠しにくいかも

多のう胞性卵巣症候群では、排卵しにくいために生理不順がおきています。自然には妊娠しにくいのです。

そうすると、このまま放置していると取り返しがつかないような不妊症になるのでは、とか、早めに対処することで不妊になることを回避できないか、というように考えたくなります。現時点では、必要以上に不安になることはありません。この体質は何かしたところでよくもならないし、放置しても悪くもならないですから。

今、できること

太っている人はダイエットしましょう。多のう胞性卵巣症候群は肥満がきっかけになりやすいことがはっきりわかっています。ダイエットは症状を緩和するための一番いい方法です。余裕があれば基礎体温を測りましょう。基礎体温は自身の排卵の有無を調べる検査です。ご自身の状態を知っておくことは将来、不妊治療を急ぐべきかどうかの判断もしやすくなります。

妊娠を考えたら

今の医学では、体質そのものの改善はできませんが、排卵をおこす治療がちゃんとあります。いわゆる排卵誘発剤です。妊活をはじめてもなかなか妊娠しにくいと感じたら、病院に行きましょう。多のう胞性卵巣症候群の人は、その治療の程度には個人差あるとしても、きちんと妊娠、出産されています。

子宮体がんの予防

生理が来ないと妊娠しにくいのですが、それ以外にも問題があります。子宮体がんのリスクです。
生理とは、子宮の中にある内膜という組織を外に出していることです。内膜は受精卵を発育させるための大事な組織ですが、受精卵が来なければ、一度捨て去るわけですね。生理がないと、この内膜をきちんと捨てていないことになります。どんどん溜まっていって、あまりに中で増えすぎると子宮体がんになりやすいことが知られています。
3ヶ月に一度は生理で子宮の中をキレイにした方がいいのです。

3ヶ月以上、生理が来ない人は子宮体がんを予防するために定期的に生理を起こすようにしましょう。女性ホルモンを飲むことで生理は起こすことができます。黄体ホルモンもしくはピルを使います。

ニキビと多毛

多のう胞性卵巣症候群は男性ホルモンが高くなりやすい状態です。ニキビや多毛があれば、男性ホルモンが高いのかもしれませんね。
男性ホルモンを下げる治療は基本的にピルを使います。ピルで効果がなければアルダクトンというお薬を使う場合もありますが、日本では保険診療としては認められていません。当院でもアルダクトンの処方はできないのですが、自費診療として処方しているクリニックもあります。

糖尿病のリスク

多のう胞性卵巣症候群では血糖コントロールが不安定になりやすく、将来、糖尿病になりやすいことが知られています。
肥満はリスクを高めるため、体重コントロールを心がけるようにします。
多のう胞性卵巣症候群と診断されたら、糖尿病検査と念の為コレステロール検査を受けることをおすすめします。絶対しないといけない検査ではないですが、受けておくと安心です。

治療のポイント

多のう胞性卵巣症候群は体質です。この体質そのものを変えることは難しいのです。治療の目的は、将来の子宮体がんを予防することと、ニキビや多毛があればそれを改善することになります。

3ヶ月以内に時々でも排卵が起きていれば、何もしなくてもかまいません。現時点で何か生活に支障があるのであれば、治療を検討しましょう。

ピル

生理不順の改善、ニキビの改善、子宮体がん予防、避妊に有効です。
とにかく決まった時期に生理が来ないと予定が立てにくいとか、生理が来ないと妊娠したかどうか心配になる人はおすすめと言えます。

黄体ホルモン

ピルには卵胞ホルモンと黄体ホルモンが含まれています。この中の黄体ホルモンだけを使う方法です。
生理不順の改善、子宮体がん予防になります。ニキビの改善や避妊はできません。

ピルは便利ですが、副作用もあります。ピルの大きな副作用は卵胞ホルモンによるものです。黄体ホルモンだけなら副作用が少ないのでその点安心。
保険が効くのでピルより安いのもメリット。

ダイエット

できるなら一番よいです。でも、ダイエットはなかなか難しい面もあるので、ストレスを感じない程度にトライしてみましょう。

排卵誘発剤

ピルや黄体ホルモンは、あくまで生理をおこすだけで排卵はしません。
ですので妊娠を目標にしたら排卵誘発剤を使います。
排卵誘発剤を使うのはちょっぴり大変です。適切な量や副作用などのコントロールのため何回か通院する必要があります。また双子の妊娠のリスクもあります。ただ単に生理をおこすために使うことは一般的にはしないことが多いのですね。