HPVワクチン
HPVワクチン
子宮頸がんは、若い女性に発症するがんです。
現在では子宮頸がんの原因が、HPVウィルスであることがわかっています。このウィルスは性交渉により感染します。女性のおよそ10人にひとりは感染していると言われている、非常にありふれたウィルスです。
皮膚と皮膚の接触により感染するので、コンドームを使用していても感染を完全に防ぐことはできません。
子宮頸がんとその前癌状態は1000人にひとりの割合で発症し、その発症年齢は性交渉をはじめて経験してから10年くらいと考えられています。つまり20代後半から30代にかけてが一番発症しやすい年齢なのです。生命だけでなく、場合によっては子宮を失うことで出産の機会も奪われてしまうのです。
また、女性の外陰部にできるイボをコンジローマといいますが、このイボの原因にもHPVはなっています。コンジローマは命にかかわるわけではないけれども、大きくなるととても治療しづらく、なおかつウィルス感染があると何度も再発するやっかいな疾患です。
子宮頸がんは女性にとって、大変つらい病気ですが、これを予防するワクチンがHPVワクチンです。このワクチンは子宮頸がんと尖圭コンジローマの原因となるHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染を予防します。
尖圭コンジローマのほぼすべてと子宮頸がんの7~9割を予防する効果があります。
一番効果が高いのは性交渉を経験する前に接種しておくことですが、性交開始後でも一定の効果はあると考えられています。
接種方法
腕の筋肉に注射します。
15才未満の方は、初回接種と6ヶ月後の計2回接種(シルガード9のみ)
15才以上の方は、初回接種と2ヶ月後、6ヶ月後の計3回接種
副反応
接種部位の疼痛や腫れ(強く感じる人もいます)
ごくまれに、重篤なアレルギー症状
普段から採血で失神しやすいなど、注射に対して抵抗感の強い人は、横になって注射しましょう。
一時期話題になった、慢性疼痛や多様な症状は本ワクチンとの因果関係は少ないと考えられています。
注意点
接種後、院内で15分ほど待機していただきます。
既に感染している場合や、異形成などになっている状態を正常に治す効果は期待できません。
HPVワクチンで多くの子宮頸がんは予防できますが、完全ではないのでワクチン接種後もがん検診は受けましょう。
種類と値段
サーバリックス(2価)とガーダシル(4価)とシルガード9(9価)の3種類があります。
サーバリックスは尖圭コンジローマの予防効果がないため、ガーダシルかシルガード9の接種がおすすめです。小学6年から高校1年相当の女子は定期接種のため、どの種類でも公費(無料)で接種できます。予防できる種類の多いシルガード9の接種がおすすめです。
また、副反応が問題になった時期に接種できなかった方のために、キャッチアップ接種として同様に公費(無料)で接種する事ができます。R5年はH9年生まれからH18年生まれの方が対象となります。この措置は、来年までの時限措置ですので忘れないように注意が必要です。これ以外の方は、自費での接種となりますので、当院ではサーバリックス、ガーダシルが18000円/1回、シルガード9が30000円/1回となっています。
23区に住民票がある方は当院での接種が可能です。