子宮にできる良性の腫瘍
めずらしくはありません
子宮筋腫とは
子宮の大部分は筋肉でできています。赤ちゃんや生理の成分を子宮の外に出すためには、収縮して押し出す必要がありますから。
この子宮の筋肉には、なぜか良性の腫瘍ができやすく、これを子宮筋腫と言います。
とてもありふれた疾患で、女性が一生のうちに子宮筋腫になる可能性は80%です。35才くらいから急に増え始めます。30代の4人に一人は子宮筋腫が見つかります。。
原因と発症リスク
どうしてできるのかは、よくわかっていません。
黒人女性、太っている女性に多いようです。また、遺伝的になりやすい体質もあるようです。
生理がある年齢の女性によく発症します。
そうすると、女性ホルモンが子宮筋腫のできやすさに関係してそうですが、意外とそうではないのです。不思議なことに妊娠回数が多いと逆に子宮筋腫の発症リスクは低下します。
妊娠は女性ホルモンがたくさん分泌されている状態です。子宮が頻繁に活動すること(すなわち生理)が、リスクになるのかもしれません。
ちなみに女性ホルモンは子宮筋腫のできやすさにはそれほど関係ないとされていますが、今ある子宮筋腫を大きくする原因にはなります。ややこしいですね。
避妊薬であるピルは女性ホルモンですが、低用量ピルは子宮筋腫の発症や増大にあまり影響はありません。年齢も関係していて、20代だと0.3%ほどの発症率が、40代には1.6%くらいに増えます。
閉経すると女性ホルモンが分泌されないので、子宮筋腫は小さくなります。
生活習慣では、お肉とビールが子宮筋腫の発症リスクを増大させます。ほどほどに。
症状
筋腫がある人のほとんどは症状がありません。筋腫が大きくなったり、子宮の内部(生理がおきる場所)にできたりすると症状が出やすくなります。
一番多い症状は生理の量が多くなることです。
大きな筋腫が周囲の臓器を圧迫することで起きる症状もあります。
腸を圧迫して便秘になったり、膀胱を圧迫しておしっこの回数が増えたりします。ときに、腹痛の原因になることもあります。
自覚症状がなくても、妊娠しにくくなることもあったり、妊娠してから症状が出たりすることもあります。
子宮筋腫の人が気をつけること
筋腫が見つかっても小さくて症状がない人は、あまり気にしなくてもいいのです。
症状のある人、5cm以上の大きな筋腫がある人、これから妊娠を考えている人は定期的に検査を受けた方が安心です。
生理の量が多いなどの症状がある人は、しらない間にひどい貧血になっていることもあるので要注意です。
急に大きくなっている場合は子宮筋腫ではなくて肉腫というがんの可能性も出てきます(確率はかなり低いですが)
妊娠すると筋腫が大きくなりやすく、腹痛などの妊娠・分娩時の合併症の原因になります。
定期的な検査でサイズを確認することで、今妊娠をすべきかどうか、治療すべきかどうかの判断材料にはなるでしょう。
検査
基本は超音波検査です。時間は数分くらい終わります。
生理が多い人、腹痛がある人は、保険がききますし、初診料込みで3千円程度で受けることができます。子宮筋腫自体は命に関わることはほぼありませんが、妊娠出産には大きく影響します。
30才ごろには一度、子宮の超音波の検査を受けておくのはおすすめです。出産を考える時期に、子宮筋腫が増える時期でもあります。
生理が多い人は、貧血の検査も受けましょう。
超音波で、大きな子宮筋腫が見つかった場合、MRIという検査を追加ですることもあります。
少し、お金と時間はかかりますが、超音波よりもさらに正確に診断できる検査です。
治療
症状が強くて日常生活でも支障があるような場合は治療を検討します。
治療法は手術、女性ホルモンを止める薬、筋腫への血管を塞ぐ方法、超音波で焼く方法などたくさんあります。
子宮筋腫を取り除くには、手術しかありません。その他の治療法は子宮筋腫を小さくすることはできても取り除くことはできません。
ただし、手術はそれなりのリスクを伴います。症状の程度によっては小さくする治療でもよかったり、複数の治療を組み合わせたりして、最良の方法を選ぶことになるでしょう。