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カンジダ腟炎

カンジダ腟炎

眠れないくらい痒くて、おりものがいつもと違う。
それはカンジダかもしれません。

カンジダ膣炎とは

カンジダは真菌の一種で、カビの仲間です。
腟の中にカビが入る?最低な病気って思うかもしれません。

でも女性の外陰部がかゆくなる原因としてはありふれた病気です。カンジダは腸の中や腟の中に普通に存在しています。何も症状のない女性のおりものを調べると、10人にひとりはカンジダがみつかります。[1]

少量のカンジダがいること自体は問題ではありません。でもカンジダが腟の中で増えると眠れないくらいかゆくなるのです。おりものはポロポロになり、人によってはかなり不安になるかもしれませんね。

 

なぜカンジダになるのでしょう

カンジダそのものが腟の中に存在することは病的なことではありません。[2]

それが増えてきて症状を引き起こすとカンジダ腟炎、外陰炎と呼ばれます。

生理前になりやすく、抗生剤やピルの内服、性交渉などがきっかけになることが知られています。

 

抗生剤の内服

抗生剤の内服はカンジダの原因としてかなりの割合を占めます。[3] 抗生剤を飲むと毎回なるという女性も少なくありません。
抗生剤によっておりものにいるカンジダ以外の細菌がいなくなって、代わりにカンジダが増えてしまいます。
ちなみにおりものには雑菌を防ぐために乳酸菌がいます。雑菌に対しては乳酸菌はとても大事なのですが、カンジダに対しては乳酸菌の影響はそれほどでもないようです。[4]

ピル

女性ホルモン(エストロゲン)がカンジダのリスクになることがわかっています。生理がまだ来ていない女性にはカンジダはほとんど起きません。生理が来るようになるとカンジダの発症が増えるのです。ピルユーザーや妊娠中の女性はさらにカンジダになりやすいことが知られています。女性ホルモンがなくなり更年期になると再びカンジダになりにくくなります。

性交渉

性交渉はカンジダの大きな原因です。定期的にセックスをするようになって初めてカンジダになったというのはよくある話です。

物理的な刺激で炎症が引き起こされ、腟内の環境が変化し、腟内への直接的な感染の原因にもなります。人と人が接触する性交渉はあらゆる感染症の原因になりますが、それも仕方ないというものですね・・・

体質

どうやらカンジダになりやすい体質の人がいます。遺伝的なものなので対処できるものではないのですが、なりやすい人はなりやすいということですね。

生活習慣

腟の洗浄、蒸れやすい服装、ナプキン、タンポン、お酒や糖分の取りすぎはカンジダの原因になるという報告もあれば関係ないという報告もあります。生活習慣を過度に気をつける必要はないかもしれません。心配なら注意するくらいでいいのかも。

ちなみに腟の洗浄を繰り返し行うことは、カンジダの原因になるとはいえないのですが、雑菌による細菌性腟症の原因になることは確実なので、やめたほうがよいでしょう。

性病ですか?

性行為は原因のひとつですが、カンジダは性病ではありません。病原体であるカンジダはそこらへんにいます。何かをきっかけに発症します。性交渉の経験がない女性もカンジダになることがあります。風邪の人とセックスして風邪がうつることもありますよね。でも風邪は性病ではありません。
症状がある時は性交渉はやめたほうが良いでしょう。炎症が起きているので刺激は悪化の原因になります。パートナーに感染する可能性もあります。しかしカンジダに感染したということをパートナーに伝える必要は必ずしもありません。パートナーがかゆいというのなら別ですが、通常は自然に治りますし症状がなければ、カンジダの菌がいることは問題にならないからです。

カンジダは性病ではありません。ところが、カンジダの検査のついでに性病の検査をするとクラミジアや淋病などの性病がたまたま見つかることも多いのです。おりものに不調がある人の10人にひとりくらいはこれらの性病が見つかりますので、心配な人は同時に検査を受けておくのがおすすめですね。

検査と治療

通常はおりものにカンジダがいるので、おりものを調べます。
検査には顕微鏡と培養があります。
カンジダでは顕微鏡でおりものを見ると糸のような菌糸が見えます。顕微鏡検査はその場ですぐ診断できますが、見逃すこともあります。
培養は数日かけておりものにいる菌を発育させて確認する検査です。顕微鏡よりも精度が高い検査です。ですが、数日の間、結果を待っているのも、かゆい人にとってはツライですよね。ですので当院では特別な場合をのぞき培養はせず、顕微鏡検査と症状を聞いて治療を開始します。かゆいのって我慢できないですし。
治療は抗真菌薬を使います。飲み薬と腟に直接入れる錠剤があります。
飲み薬は1回飲むだけなので治療としてはラクです。ただし妊娠中の人は飲めません。
強いかゆみや炎症がある人には抗真菌薬に加え、ステロイドの塗り薬を処方します。数日使用する程度でかゆみはかなりラクになります。
治療を開始して数日ほどで症状はよくなり、1週間くらいでカンジダはいなくなります。

カンジダの予防

完全に予防できるいい方法はあまりありません。カンジダと乳酸菌の関係を調べたいくつかの研究もあるようですが、ヨーグルト(乳酸菌)の摂取はあまり予防効果はないようです。ピルを飲んでいる人は、ピルを中止する、もしくは用量の少ないものに変更することでカンジダになりにくくなるかもしれません。

カンジダを予防することは難しいので、症状が出たらすぐ治療するのが現実的のような気が します。現在では薬局でもカンジダ治療薬が購入できますし、病院でもらった腟錠をストックしておくのもひとつの方法です。抗生剤を飲むとほぼカンジダになってしまうという人は、抗生剤治療後に予防的にカンジダのお薬を使ってもよいでしょう。

 

【参考文献】

1 Vaginal microbial flora in normal young women. Br Med J. 1979; 1(6176)

2  Colonization of Candida albicans in vagina, rectum, and mouth. J Fam Pract. 1983;16(5):919.

3 Relative risk of vaginal candidiasis after use of antibiotics compared with antidepressants in women: postmarketing surveillance data in England. Drug Saf 2003; 26:589.

4  Prospective study of vaginal bacterial flora and other risk factors for vulvovaginal candidiasis. J Infect Dis 2009; 199:1883.

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