ピルの飲み方と飲み忘れ
ピルの飲み方と飲み忘れ
ピルの実際の飲み方を説明します
実際の飲み方
ピルを処方してもらうと、飲み方の説明を受けます。
原則は
生理が始まってから5日以内に開始します。飲み始めてから1週間は避妊効果がないと説明を受けるかもしれません。
1日1錠を決まった時間に飲んでいきます。
一度、ピルを飲み始めたら3週間飲んで、1週間休みます。再び、3週間飲んで、1週間休みます。
これをずっと繰り返します。
今は日数を数えやすくするために3週間の薬と1週間の空っぽの錠剤がセットになった28日タイプが主流になっていて、毎日飲めばいいようになっています。
一度飲み始めたら、何も考えずに、3週間飲んで1週間休むことを繰り返します。1週間休んでいる時に生理がきます。
これが一般的なピルの飲み方です。簡単ですね。ではなぜこのような飲み方をするのでしょう?
ピルの仕組み
ピルは女性ホルモンです。難しい話はさておき、ピル(女性ホルモン)を飲むことで体に何が起きているでしょう。女性ホルモンの作用はたくさんあるのですが、ピルの避妊薬としての効果は2つです。
卵子の発育を止める(避妊効果)
生理の元になる内膜を子宮につなぎとめる(生理のコントロール)
実はよく勘違いされるのですが、この2つは別々に働いています。その作用する時間も違うので、 これを知っておくとピルに対する理解が少し深くなります。
卵子の発育を止める作用(避妊効果)
卵子は脳からの命令で発育します。ところが、女性ホルモンを飲むとネガティブフィードバックという仕組みが働き、脳からの命令が止まるのです。これがピルが避妊できる仕組みですね。
ピルを飲むと脳からの命令が止まり、発育していた卵子は小さくなっていきます。1週間もすれば発育0%の状態になるでしょう。
しかし、注意点があるのです。実はある程度、成熟してしまった卵子は脳からの命令がストップしてもその勢いが止まらず排卵してしまうのです。生理が始まってから早ければ7日目くらいにはこの状態になります。
ここがとても重要なところですね。80%から90%くらいまで成熟が進んでいると、もう止めることはできません。勢いがついた卵子は3日後から5日後くらいに100%に発育して排卵します。
つまり、ある程度、卵子が発育していると、ピルを飲み始めても避妊できないのです。ただ、この状態でも1週間待てば排卵が起きて、その後は妊娠することはありません。
結局、ピルを飲み始めて1週間すると発育途中の卵子はいなくなります。卵子の発育が0%の状態から再び脳からの命令が出たとしても80%まで成熟するのに10日間ほどかかります。ということは一旦0%になれば1週間くらい卵子が発育しても、その発育は50%程度にとどまりピルを再開すれば再び発育を抑えることができます。でも10日間発育させておくともう止めることはできずに排卵する可能性が出てきます。
生理の元になる内膜を子宮につなぎとめる(生理のコントロール)
女性ホルモンは子宮内膜を子宮につなぎとめる働きがあります。つまり、生理をとめる力があります。これは直接子宮に働きかけて作用を発揮します。
そして女性ホルモンがなくなると子宮から内膜が剥がれていき生理が起きます。
ということは、ピルを飲んでいる間は生理が来なくなり、飲むのをやめると生理がきます。
そして、このとめる力も永遠に続くわけではなく、数ヶ月くらいで耐えきれずに出血が始まることがほとんどです。
ちなみに一度始まった生理はなかなか止まりません。ある程度止めようとはするのですが、生理がちょっとづつ時間をかけて出るようになります。
ピルの女性ホルモンの量は少なく抑えられているので、1日でも飲み忘れると出血することがあります。飲み続けているとなんとか止まることもありますが、ずーっと出血が続くこともよくあります。
ピルの飲み方の理由
生理5日目以内に開始する理由:
生理5日目だと卵子の発育が50%くらいの状態のため、卵子の発育をすぐに止めることができます。また、生理がきているということは今は妊娠していないという確認にもなります。生理5日目までにピルを開始すれば通常はすぐに避妊できることになります。
でも、時々生理じゃない出血を生理と間違えることもあるので、1週間、待つのが確実だったりします。
実はピルはいつからでも始めていいのです。もし、すぐに避妊したい場合は次の生理を待たずに開始することも可能です。ポイントとしては、卵子の発育が80%まできているかもしれないので、1週間待つこと、そして、現在妊娠していないことを確認することです。
3週間飲み続ける理由:
生理は普通28日周期でやってきます。3週間飲んで1週間休むサイクルだと28日サイクルになり、一般的なサイクルと同じになって安心です。それだけの理由なので、本当は3週間である必要はありません。
極端な話、1週間飲めば卵子の発育状態は0%にリセットされるので、短ければ1週間でもいいですし、3週間以上飲んでもかまいません。
短く飲むことはあまり意味はないけれども、長く飲めば生理があまり来なくなるので楽ですよね。
ヤーズフレックスというピルは最長120日間(17週)飲めます。
飲む日数を調節することで、生理の時期も調節できます。もし生理を早めるために短く飲む場合は、先ほど1週間でもよいと書きましたが、1週間の内服だとちょっと心配ではあるので2週間は飲むことをオススメはします。
1週間休む理由:
永遠に生理をとめることはできないので、どこかで生理を起こす必要があります。お薬をおやすみする必要があるのですが、2日程度のおやすみだと、子宮のなかが空っぽになる前にピルを飲むことになり、生理がきちんと出てくれません。
逆におやすみを長くしすぎると卵子が発育し過ぎてしまいます。
1週間であれば子宮の中も空っぽになり、卵子の発育も50%にとどまります。キリがいいので開始する曜日が同じになって忘れにくいというメリットもあります。
ほとんどのピルは1週間のおやすみを採用しています。ヤーズだけが例外で、おやすみが4日間です。ヤーズは生理の量が少ないピルなので、4日間の休薬でも十分なのです。
ヤーズ以外のピルでも1週間以内であれば、おやすみは多少短くなってもいいと言えばいいのですね。
ピルの飲み忘れ
ピルの飲み忘れで大切なことは、避妊できているかということと、出血は別のものということですね。出血は1日でも飲み忘れると起きることがよくあります。卵子の発育を抑える作用とは別なので、びっくりしないで飲み続ければ避妊はちゃんとできています。
とにかくピルを1週間飲み続ければ、卵子の発育は0%の状態になっています。この状態からうっかり飲み忘れたとしても1週間以内であればピルを再開することで卵子の発育は抑え込むことができます。卵子の発育が0%の状態から飲み忘れが9日以上になると80%くらいまで発育してしまう可能性があり抑え込むことができなくなります。
だから飲み忘れで注意するべきは休薬期間の前後なのですね。
もし1列目で2日以上飲み忘れたら、その前の休薬期間と合わせて9日以上の飲み忘れがまとめて起きたことになるので、排卵する可能性があります。ピルを1週間続けて飲むまでは別の避妊法を行いましょう。うっかり避妊できなかったらアフターピルを検討してください。
もし3列目で2日以上飲み忘れたら、思い切ってそこから1週間以内のお休み期間をとり、新しいシートを飲むといいでしょう。飲み忘れに加えて、1週間の休薬は取らないように気をつけましょう。