性器ヘルペス
性器ヘルペス
潰瘍ができてよく再発する性感染症
はっきりいってイヤな病気
性器ヘルペスとは
外陰部に水ぶくれができたりただれたりする病気です。単純ヘルペスウィルスというウィルスが原因です。一度感染すると、ずっと体内に感染し続け、ときどき再発するイヤなウィルスです。単純ヘルペス1型、単純ヘルペス2型の2種類のタイプがあります。
このウィルスは口と性器に感染します。口に感染すると口唇ヘルペス、性器に感染すると性器ヘルペスとよばれます。2つのウィルスタイプともに口と性器に感染する可能性がありますが、性器ヘルペスの場合は2型が再発しやすいという特徴があります。
じつは単純ヘルペスウィルスを持っている人は結構多いのです。ウィルスのタイプによって違いますが、1型で60%くらい、2型で10%くらいはいます。でも感染したすべての人に症状が出るわけではありません。感染しても8割ほどの人は症状が出ないと考えられています。
感染
ウィルスを持っている人がいつも感染させやすい状態にあるわけではありません。
潰瘍や水ぶくれなどの症状が出ている時は感染のリスクは高くなります。
症状が出ていない時は大丈夫かというと、厄介なことに、ときどきウィルスが出ている時もあります。
ウィルスが排出されている時に接触すると感染します。キスをした時に口から口へ、セックスで性器から性器へ、オーラルセックスで口から性器へと感染します。
そして、感染した人のうち20%ほどの人に症状が出ます。通常は2週間ほどの潜伏期間のあとで発症しますが、数年あとで発症することもあります。
というわけで感染しても全く症状が出ていない人(自分がヘルペスに感染していることを知らない人)が、気づかない間に他の人へうつしてしまっていることもあるのです。
性病は誰から感染したとか、浮気したんじゃないかとか、トラブルの原因にもよくなります。その点ヘルペスは誤解をうみやすい病気です。症状がない時にも感染させる可能性があるので、自分がいつ感染したのか、いつ感染させるのかわからないことも多いのです。
症状
初めての症状
症状が初めて出る時は、かなり激烈です。外陰部に水ぶくれができ、水ぶくれが破れるとただれ(潰瘍)に変化して強い痛みを伴います。歩くことさえつらくなります。足の付け根の リンパ節がはれたり、熱が出たり、膀胱炎も同時によくおきます。
この症状はうんざりするほど(3週間ほど)続きますが、じきになくなります。
初発症状の強さは感染してからの期間や別のタイプのヘルペスウィルスをすでに持っているかどうかで変わったりします。口唇ヘルペス(1型の感染が多い)にすでにかかっている人 が2型を感染すると、場合によっては1年以上も症状がなく軽い症状が出るだけのこともあります。
再発
その後、ときどき再発して外陰部がただれます。体調が悪くなると再発しやすくなります。 ストレス、寝不足、日焼け、ひふの刺激などはよくある原因です。
幸いなことに再発の時は初めての時ほど症状はひどくありません。発熱やリンパ節のはれはほとんどおきません。ひどく不快であることは間違いないですが。
再発する前には、かゆみが出たりムズムズチクチクと違和感があることが多く、前駆症状と呼ばれています。
治療
抗ウィルス薬を飲みます。飲むことで、早く症状を治すことができます。
あくまで症状を軽くする治療ですので、ウィルス自体を体から消し去ることはできません。
ヘルペスは再発しやすい疾患なので、自分でお薬を前もって持っておくこともできます。
何度も再発する人は再発をしないように毎日お薬を予防的に飲む方法もあります。再発抑制療法と言います。
ヘルペスにかかったら、うまく付き合っていくようにしましょう。
感染予防
より良いパートナーシップのために感染予防について理解することはとても大事です。
症状があるときはセックスをひかえる
潰瘍などのはっきりした症状がある時はもちろん、チクチクムズムズした前駆症状の時にもすでに感染させる可能性が高くなっています。早い段階での症状でもセックスをひかえましょう。
コンドームの使用
症状がない時でも感染するリスクはありますが、コンドームを使うことでパートナーへの感染率を下げることできます。
抗体検査
ヘルペス感染した人とそのパートナーが感染しているヘルペスのタイプを確かめることも有効です。同じタイプの抗体があれば感染についてそれほど考慮は必要ないですし、抗体がなければ感染予防をすべきだと判断できます。
再発抑制療法
予防的内服で感染率がはっきり低下することがわかっています。再発予防のための治療ではありますが、感染予防にもなりますので、再発しやすい人は積極的に検討してみましょう。
ヘルペスの注意点
妊娠
新生児へのヘルペス感染はかなり重篤になることが知られています。ヘルペスをもっている人が出産時にヘルペスの症状が出たときは、必ず産科医に伝えましょう。
他の性感染症の検査、特に梅毒
梅毒は外陰部に潰瘍ができる病気です。梅毒の感染率は上昇しており、ヘルペスかなと思ったら必ず梅毒検査もしましょう。ついでに他の性感染症である、クラミジアや淋病も調べるのをおすすめします。